「そう?良かった。
あっ、いらっしゃいませ‼」
私の答えを聞いて、琴里さんがそう返してくれた後、お客さんが来たらしく…入り口の方を見てそう言った。
「いらっしゃ…どうして?」
私もお客さんに挨拶しようと振り返ると、ここに居ないはずの人物が立っていた。
「急に居なくなるから、捜したよ。」
目の前の男は私を真っ直ぐに見つめて、有り得ない事を言った。
だって、彼は…私が嫌いだから。
「雨芽ちゃん、お知り合い?」
「えっと…」
「すいません、妹がお世話になってるみたいで。」
「えっ、雨芽ちゃんのお兄さん??」
「はい。」
琴里さんの質問にどう答えようか迷っていると、男が先にそう言った。
案の定、驚いて質問する琴里さんに、男は人のよさそうな笑みを浮かべて頷いた。

