目の前にある、私を昨日一晩中包み込んでくれた身体。

そこから少し上を向くと、航平の寝顔があった。
ゆっくりとその顔に向かって手を伸ばす。


ドキドキと鼓動が速い気がする。
大切でずっとそばに居てほしくて。

でも、出来るなら私の家の事を知らないままで居てほしい。


この気持ちを何て言うのだろう…。



「本気で言ってる?」
「うん。
何で?」
自分の気持ちが分からないから、理咲に聞きに来たのに呆れたようにそう聞かれた。

あの後、航平が目を覚ましたんだけど、何となく緊張しちゃって、寝たフリをしてしまった。


航平は、私が寝てると信じたのか、頭を優しく撫でるとソッと私の頭の下の腕を引き抜いて、起こす事なく用意して仕事に出掛けて行った。