「一応声かけたろ。
注意はしたんだし、家帰れば良いだろ。」
「無理。
帰れない。」
「家出かよ?
てか、ついてくんな。」
何かこのままほっといたら、家までついてくる勢いを感じたから、一度立ち止まりそう告げた。
「やだ。
行くとこないもん。」
初めに感じた儚さ等、微塵も感じさせないような強気な口調と言うか、タメ口でそう言った。
「俺は知らん。
ホテルでも泊まれば良いだろ?」
「こんな時間に開いてるの?
私、分かんないし。」
「開いてないな。
こんな時間に開いてるのはラブホくらいだろうな。
…じゃあ。」
「いや、‘じゃあ’じゃないでしょ。」
俺が構わず帰ろうとしたら、ガシッと腕を掴まれてツッコんできた。

