まぁ、それを変えてやるのは俺の役目じゃないんだろうけど。
いつか、アイツが誰かを想えるようになった時、その誰かが教えてやってくれれば良い。
そんな想像をして、少し胸が痛かったけど、それは決して恋愛感情なんかじゃないと自分に言い聞かせ、直ぐにそれをどっかに丸めて投げ捨てた。
「清くん、幸せそうやったなぁ。」
「そうだな。」
「小さい頃はアンタの後ばっかり追い掛けて行ってたのに。」
「いつの話だよ?
…まぁ、そんな頃もあったけど。
俺もアイツももう大人だしな。」
「そうやなぁ。」
披露宴の帰り、お袋と家への道をゆっくり歩きながらそう話した。

