「そうかもな。
俺も誰かと暮らすとか考えてなかった。
家族は別だけど。」
それなりに長く一緒に働いていて、お互いに理解している本宮には、素直にそう返せた。


「で、お名前は?」
「そいつの?」
「それ以外に誰の名前を聞くのよ。」
「そうだな。
雨芽だよ。」
「えっ?」
「天気の雨に芽が出るの芽で雨芽だってさ。
名前まで変わってるだろ??」
「何歳?」
「20歳だって言ってたような気がする。
どうかしたか?」
「いや、何でもない。」
何か若干様子が変わったような気がして聞いてみたけど、本宮は笑顔で否定した。


でも、その顔は誰かに少し似ている気がしたけど、誰かは分からなかった。