母は所謂愛人だった。
父には奥さんと、息子が3人居た。

でも、ちゃんと紹介された事はない。
まだ引き取られた頃、偶然出逢って次男と三男には遊んでもらった。

私もまだ自分が奥さんや彼等にとって、忌み嫌われるような存在なんて知らなかったし、彼等もまだよく分かってなかったから。


長男は歳が少し離れている分理解が早く、最初から私の事を遠ざけていた。


数年後…次男と三男も真実を知ってからは、3兄弟皆が私が近づく事すら嫌悪した。


『愛人の娘のくせに俺らに関わるな。』
『俺、知ってるんだよ。
お前が親父の愛人の娘だって。
図々しい。』
『よく生きてられるよな。
俺なら恥ずかしくて無理。』
そんな言葉を浴びせられた事もある。


私は自分が言い返せる立場にない事を分かってるから、無表情で耐えた。

泣く事さえ許されなかった。


父との月に1度の食事会は特に苦痛だった。