「俺はそうは思えません。
幾つか理解出来ない事もありましたが、あなたはちゃんと雨芽を愛してるんじゃないかと思いました。

だから、雨芽を引き取ったんですよね?
自由にさせないのは、雨芽の安全を守るためですよね。」
返事がなくても、俺は質問を続けた。


「雨芽は、俺自身が愛した奴との娘です。

妻や息子達に悪いと、抱き締めた事も頭を撫でた事も、誉めてやった事もありません。
随分悲しい想いをさせたと思います。

だからこそ、もうアイツを自由にしてやろうと思った。
嫁に出し、家とは関係なくなればもっと安全で幸せに生きていける。

そのつもりだったんですがね。」
少しの間をおいて、ポツリポツリと父親は娘への不器用な愛を語った。