「すっ、すみません!」
「え、何で謝るんですか?変な琴音さん」
「いや、自分の世界に入っちゃってて……惣介さんのこと、すっかり頭から抜けてました」
ごめんなさい、と言うと、惣介さんは目を丸くした後、口元を緩ませた。
「……ぷっ」
「え?」
何で笑われているのかわからなくて、くくくっと可笑しそうに笑う惣介さんを呆然と見てしまう。
惣介さんに木漏れ日がキラキラと当たって綺麗だなと思っていると、ぱちっと視線がぶつかった。
「!」
「俺ももっと頑張らないとダメですね」
「え?頑張る、んですか?何を……」
「いろいろです。頑張ります」
にこにこと宣言されるけど、何のことかわからなくて首を捻った。
「?変な惣介さん……」
「それはお互い様ですよ?」
「!……確かに。否定できません……」
「いいことです。変なもの同士、のんびり楽しんで行きましょう」
「……はい」
きっと端から聞けば変な会話だけど、私と惣介さんはこれでいいんだって思う。
不思議な関係だからこそ、こういうのがいいのかもしれないけど。

