捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。

 



「わぁ!すごい!」

「でしょう?絶対琴音さん好きだと思って、今日はここにしたんですよ」


目の前に伸びるのはこれでもかというくらい高い木々たちに囲まれた道。

生い茂った木の葉の隙間からキラキラと太陽の光が洩れる。

風で葉が揺れると光がさらにキラキラと輝く。

私は目の前に広がる光景につい足を止めて見いってしまう。

本当に綺麗。

こんなに高い木に囲まれていると、自分がすごく小さく思えてくるし、緑が目に心地いい。

緑の中を吹き抜けていく風も澄みきっていて気持ちいい。

風にざわめく緑の音もいい感じだ。

私は自然を自分の中に取り入れるように、すーはーと深呼吸をする。

この空間にずっと居ても、きっと飽きない。


「は~……、幸せ」

「……はい、ですね」

「!」


すっかり惣介さんの存在を忘れてしまっていた私は、斜め後ろから柔らかく降ってきた声についビクッと身体を震わせてしまう。

完全に飛んでた、私!