捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。

 

ふと、不安が走った時、惣介さんの声が飛んできた。


「……あっ、誤解しないでくださいね?怒ったとかじゃありませんから」

「!……そ、そうですか……」

「あれです。今……、琴音さんに振り回されたんです。すごく」

「!……え、私、振り回しちゃいましたか?」

「はい……」


照れ臭そうな惣介さんの横顔が見えて、私までどきっとしてしまう。

……それに、惣介さんって、横顔がすごく綺麗。

鼻筋はすっとしてるし、髪の毛の隙間からちらりと覗く顎のラインだって。


「……ダメです。琴音さん」

「えっ!?」

「後10分でいいですから……、景色でも見ていてください」

「あ、はい……」


惣介さんが何を考えてそんなことを言うのか全くわからなかったけど、私は惣介さんの言う通りに外の景色に目を移した。

惣介さんに夢中になりすぎて気付かなかったけど、外はたくさんの緑で溢れていて、木々たちはきらきらとした太陽の光を受けて輝いていた。