惣介さん、仕事はスーツって言ってたし、きっと営業で洗剤とか売ってるってことなんだ。
何か、洗剤売ってる姿を想像すると……似合うかも。
「あ、もしこだわりとかなければ、今度から琴音さんの分も洗濯洗剤と柔軟剤辺りを買っておきましょうか?半額以下になるんで、他に比べてもかなり安いですよ」
「え、でも」
「あっ、誤解しないでくださいね?営業とかではないですから」
「いえいえ!そういう意味じゃなくて」
「良かった。もし遠慮してるとかなら、遠慮はいりませんから。もし良かったら、ぜひ」
「えっと……」
洗剤ってよく使うし、しかもそろそろ買わなきゃって思ってたところで、安いのはすごく惹かれる。
でも、さすがにそこまで甘えるのはどうなんだろう……と思ってしまう。
買ってきてもらうのも面倒だろうし、惣介さんのことだから、きっとわざわざ持ってきてくれたりしそうだし……。
そうなると、迷惑かけちゃうことになる。
もやもやと考え込んでいると、隣からくくっと笑う声が聞こえてきた。
私ははっとして惣介さんに顔を向ける。
「琴音さんって、“遠慮名人”と“考え込み名人”ですね。あ、それとも、“断れない名人”ですか?」
「……う。何個目ですかね……名人」
「いいことですよ。いろんな顔が見れて、俺は嬉しいですし」
「!」
また惣介さんは私の心を振り回す……。

