「琴音さん」
「え?」
「お腹すきませんか?」
「あ、そうですね!私もお腹」
「がすきました」という言葉に乗っかってきたのは、ぐぅ~っという音。
「!!!」
「いい返事です。くくっ」
「す、すみません……!」
もちろん、ぐぅの音は私のお腹の音で。
TPOを考えてくれない自分のお腹を恨みながら、私は恥ずかしさに顔を手で隠してしまう。
何かもう、惣介さんには情けない姿を見せてばかりだ。
それはそれでいいのかもしれないけど、やっぱり恥ずかしい。
「素直な琴音さん、俺は好きですよ。これからがもっと楽しみです」
「!……は、はぁ。ですか……」
「はい。どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
「いえ」
目の前に差し出されたのはコンビニでつけてくれたウエットティッシュ。
こういうところって本当に惣介さんだからこそ気付くものなんじゃないだろうか?
男の人ってこういうの気付かなそうだし。
惣介さんの言葉を借りるのならば。

