惣介さんの心を思うと、胸がきゅうっと締め付けられる。

……惣介さんを抱き締めたい気持ちが膨れ上がる。

そんな権利が私にあるかはわからないけど……。

もう、ずっと、私の頭の中は惣介さんのことでいっぱいだ。



帰宅ラッシュで溢れかえる私の乗る電車が柚ヶ丘駅に到着した。

……惣介さんが住む場所。

ボーッと駅を眺める。

無意識に惣介さんの姿を探すように。

でも、そんなに簡単に見つかるわけはなくて。

いるわけないよね……、と思った時。


「……っ!」


柚ヶ丘駅を電車が発車し始めた時、そのホームに見つけてしまった。

……惣介さんの姿を。

たくさんの人がいるというのに、私の目には惣介さんだけが特別輝いて見える。

……どんな姿であっても、惣介さんだけが私にとって特別で大切で愛しい存在ということを現すように。

……もう、惣介さんの隣に居れるなら、周りの目なんてどうでもいい。

惣介さんが「好き」だと言ってくれるなら、私はその言葉だけを信じていればいいんだ。

私はただ、惣介さんのことが好きなんだから。

沸き上がってくる気持ちに、やっぱり私は惣介さんしかいない……と、そう思った時だった。


「……え?」


惣介さんの腕に絡み付く女の人が見えて。

惣介さんは少し驚いたような表情で口を開く。

そのまま、その姿は小さくなっていく。

私はその姿を呆然と見ることしかできなかった。



惣介さんに親しげに笑い掛けていたその人は……私が逆立ちしたって敵わないくらい、すごく綺麗な人だった。

ふわふわに巻かれたロングヘアー、整った容姿に綺麗に引かれたルージュ。

……惣介さんの隣に並んでも全く見劣りしない大人の女性で。

……どう考えても、私が隣にいるよりも自然で……お似合いだった。