……ほんと、ズルい。
惣介さんに勝てる日なんて来ないんだろうなと思うと、少し悔しくなった。
私もテーブルの上に残っていたお皿を同じようにキッチンに運び、シンクのところにいた惣介さんの隣に並んで、お皿を置きながら恨めしく言葉にする。
「……どうやったら惣介さんに勝てるんですか?いつも負けっぱなしで悔しいんですけど」
「……どこがですか。いつも負けてるのは俺でしょう?琴音さんは俺を振り回す名人ですから」
「……その言葉、そっくりそのままお返しします」
「……はぁ。自分のことが全く見えないところも、俺たちはそっくりですね」
「……本当に仕方のない二人です。ふふっ」
「くくっ。でも、まぁ。それが俺たちですからね」
「!……はいっ」
言葉を飲み込めば気付いてくれて、思ったことを言えば受け止めてくれて、二人で笑い合える。
きっと、相手が惣介さんだからこそできること。
「よし。じゃあさくっと洗いましょうか」
腕捲りし始めた惣介さんに気付いた私はそれを止める。
惣介さんまで洗い物しちゃったら、お礼にならないし!

