「横山さんは何でお見合いをしようと思ったんですか?」

「っ!?」


声はこらえたけど、三浦さんから飛んできた突然の質問に驚いてしまった。

何でわざわざそんなことを聞いてくるんだろう?

普通なら“お見合い=結婚したいから”って思うはずだよね?

……もしかして、断る理由を言いやすくしようと流れを作ってる?

そうだとしても、何と答えればいいんだろう……。


「あ、急にすみません。言いたくなければそれでいいんですけど、やっぱり気になって」

「……え、いえ。えっと、最初は叔母に言われて、ですけど……」

「やっぱり、ですよね。じゃあ、あまりこの話には乗り気ではない感じですか?」

「え、えと……」

「ふ。これこそ急に聞かれても困りますよね」

「……」


すぐに答えられないことに少し罪悪感が湧いてしまってつい足を止めてしまうと、それに気付いた三浦さんがくるりと踵を返して、私の目の前まで歩いてきた。

はっと顔を上げると、三浦さんはその口元に綺麗な弧を描いて、にこりと笑ってくれる。


「ベンチにでも座って、少しお話しませんか?」


そう言って三浦さんが指差すのは、ガーデン全体が見渡せる位置にある、少し高い場所に設置されたお洒落なベンチ。

もし同じことを聞かれても上手く答えられる自信なんてない、と思いつつも、三浦さんの笑顔とガーデンの心地よさに、自然と私は頷いていた。