その理由がわからなくて惣介さんの視線の方を見ると。
そこには、どうやら私と惣介さんのバカップルのような会話を聞いていたらしく、苦笑いしている店員さんの姿。
しかも、私にいたってはずっと入り浸るという迷惑を掛けて……!
「!!す、すみません!惣介さん!さっさと買いましょう!何がいいですかっ?どれもおいしそうで悩んでたんです!」
「え?……えっとー、琴音さんが欲しいです。一番おいしそうですし。」
「はいっ!?」
「……という冗談は今は置いておいて」
「!!!」
「そうですね……シンプルにイチゴのショートケーキにしましょう。ここのショートケーキはすごくおいしいんですよ。すみません、イチゴショートを二つお願いします」
さらっと私を振り回す冗談を言って、さらっとケーキを注文する惣介さんに、私は口をぱくぱくとさせることしかできない。
今まで以上に、惣介さんの言葉が甘ったるくなってる……!
ケーキ以上に!どうしよう!?
変な心配をしてしまう私の目に惣介さんがお財布を出しそうになったのが見えた。
私は慌てて惣介さんの腕をがしっと掴んで、止める。
「あっ!待ってください!私が払いますから!」
「えーいいですよ」
「ダメです!今日は私がお邪魔するんですから!惣介さんはそこでおとなしく待っていてください!」
「…………はい」
惣介さんは納得のいかないような表情を浮かべつつ、頷いてくれた。

