「……生きてるから、ですよ。悩むのは、一生懸命、真っ直ぐに生きてる証拠です」
「！」
「悩んでもいいんです。もし答えが出なければ、一人で慌てて結論を出さないで、誰かに頼ったり相談すればいい。……と俺は思います」
「……そのことが、誰かに迷惑をかけることになったとしても、ですか？」
「…………琴音さんがそう思ってるだけで、実は迷惑じゃないかもしれませんよ？」
「……自信、ないです。……怖いんです。嫌われるのが」
「……」
惣介さんが私に対してそう思ってくれたらいいのに、って心から思う。
……結局私がすがりつきたいのは惣介さんなんだから。
受け入れて欲しいのは惣介さんなんだから。
目頭が熱くなったのを感じた。
一気に溢れてきた涙を私はどうすることもできなくて、ただ、頬を伝わらせる。
……大丈夫。
暗さに目が慣れてきたと言っても涙が見えるほど明るいわけじゃないから、惣介さんには見えないはずだ。
鼻をすすっても、それは寒いからって誤魔化せる。
「琴音さん」
「っ！」
「……手、繋いでもいいですか？」
「え……っ！？」
返事もしないうちに惣介さんの大きな手が私の手を包み込む。
初めて直に触れる惣介さんの肌は温かくて、心地よくて。
封印しようとしていた惣介さんへの気持ちが一気に私を襲ってきて、涙も次から次へと溢れてしまって止まらない。
