特に何も言われることなく、1日が終わろうとしている。

デートはいつも通り、植物園をのんびりと散歩しておしゃべりして、って感じで。

でも、明らかな私の態度の違いがあるはずなのに、惣介さんは何も言ってこなかった。

それは、惣介さんが私のことに興味がないんだって思い知らされるには十分なことで。

……私の決心は正しかったのかもしれない。

だって、何も思われてないっていう、たったそれだけなのに……胸が痛いから。

こんな生活、どう考えても続けられるわけない。


「……琴音さん」

「あっ、はい?」

「今日はもう一箇所行きたいところがあるんです。付き合ってもらえますか?」

「え?今から、ですか?」

「はい。ちょっと遅くなっちゃいますけど……ダメですか?」


薄暗い車内。

惣介さんの表情は見えないけど、声が“どうしても”と言っているようで、断るなんて選択肢はすぐになくなってしまう。

夕食も食べたから8時を回ってしまっているけど……

明日は何も用事はないし、少しくらい遅くなっても問題ない。


「……いいですよ。明日も休みですし」

「……良かった。ありがとうございます」

「いえ……」



……ただ一つ、惣介さんにもいつもと違うところがあった。

どこか他人行儀だったってこと。

そうなればやっぱり答えは簡単で、惣介さんは私のことを何とも思ってない。

少しでも想ってくれていれば、きっと態度に表してくれるはずだし、今まで見てきた惣介さんなら絶対にそうすると思う。

……っていうか、もしかしたら、今までは私のテンションに惣介さんが合わせてくれてただけかもしれない。

そう思えば……いろいろ納得いく気がする。

お見合いの出逢いなんて、結局はこんなに簡単に崩れちゃう関係なんだな、と思った。

こんなにもあっけなく、終わる。