「えぇ、脇法律事務所の森外です」

「あんた、弁護士になって何年だい?」

「まだ1年です」

「ふっ、俺もここまでか。
よく聞け、お嬢ちゃん、俺の関わってしまったコレは、あんたにゃ務まらない。
とっととその目障りな書類片付けて帰った方が身のためだ」

「あなたこそ、私を見くびらないで下さい!」

「ほぅ、なかなか、威勢がいいじゃないか」

「ですが、私は前任者から聞いた事しかまだ事件の事は知りません。
話、聞かせてもらいますよ」

男はその言葉を聞いた途端今まで威勢よく喋っていた態度が一変し、黙ってしまった。

何十秒、いや、何分もの沈黙が続き、
薄汚れた天井を見上げながら、
ゆっくり口を開いた。

「あれは、半年前の事だー」