もつれていく紐。
ほどこうとするほど、もつれていくのは
なぜ?


「中学になると俺は家に帰る回数も減ったから家族で飯食ったりテレビ見たり、そういうのはほとんどなかった。両親はくちを開くたびに俺と兄貴を比べてた」

「そういうときお兄さんはどんな顔してたの?」

「無表情で問題解いてた。兄貴の記憶なんてほんと、その姿しかないくらい」


大樹はひきつるような苦笑をした。