「こんなことがあって、今度こそ俺らと別れたいと思ってる?」
五十嵐くんがとても悲しそうな表情で聞いてきた。
「あ、えっと・・・。」
さっきまで慌ただしくて、そんなこと考えてる余裕なかった。
「こないだ、未羽のこと守るとか言っといて、今日危険な目に遭わせて本当にごめん。
でも!これからは絶対に未羽を危険な目に遭わせたりとか、嫌な思いさせないようにする。
だから、別れたくない。」
五十嵐くんは真剣な表情でそう言った後、急に恥ずかしくなったのか真っ赤になって俯いて、
「・・・です。」
と、付け加えた。
なんか、一生懸命な五十嵐くんを見てたら、優しくて少し可愛くて、微笑ましくなってきた。
今回のことは、この人と離れる理由にはならないんじゃないかな?
「もちろん!」
「え、本当に!?」
「うん!
五十嵐くんのおかげで、無事だったし、本当に感謝してるよ!
それに、その、助けに来てくれた五十嵐くん・・・かっこよかったよ。」
「え・・・?」
五十嵐くんがキョトンとした顔をしてる。
わああ!こんな恥ずかしいこと言わなきゃよかった!
でも・・・。
「・・・へへっ!よかった!」
五十嵐くんのこんなに素敵な笑顔を見れたから、やっぱり言ってよかったかも。
「あ!1つお願いしてもいいか?」
「何?」
「亮って、呼んでほしい。」
「え、今!?」
「うん。」
ええ!恥ずかしいよ!
でも、五十嵐くんは顔を真っ赤にしながら、頑張ってお願いしてるんだし、言わなきゃだよね。
よし!頑張れ私!
「・・・亮。」
「はい!」
亮は元気よく返事をした。
「あははっ。
なんか恥ずかしいね!」
「そうだな!」
私と五十嵐くんは2人で顔を赤くして笑った。
五十嵐くんといると、楽しいし、落ち着くし、心が温かくなる。
こんな人に出会ったのは初めて。