一回だけ、頷いて自転車を転がす彼の後ろについた。 時々振り返って、あたしに笑いかけてくれる。 それが嬉しくて、にやける口を隠すために マフラーに顔を埋めた。 「なぁ……香澄、き、キスって…どうやってすんのかな…」 「は?」 みんなにからかわれないようにと、いつも通っている裏道で、瞬が呟いた。