ガラリと大きなドアの開く音がして、皆の目線が集まった。
勿論その中に俺もいた。

ドアの先には


見たことのある、あいつだった。


ドアの先で立っていた男はまっすぐにこっちに歩いてきた。俺も少し男に近づいた。

「お前も…ここの高校なのか。」
「あァ。」

この男の名前は祐輝(ゆき)。俺より10cm以上高く、体つきもすごい。女子からすればモテるタイプだ。

実はこの時教室の空気が悪かった。入学早々白い目で見られるのは勘弁なので、小声で

『あとで本心』

と言いその直後に

「いっやぁ~!久しぶりだな!祐輝」

と態度を変えた。祐輝も同じことを考えているのか

「そうだな!何年ぶりだっけか?」

と話しながら教室を出た。

廊下で無言になった俺と祐輝は互いを見ていた。