黒崎君の恋事情

 えっ、その顔をしかめての「えっ?」ってどういう意味? 

 
 私は黒崎君の生返事を聞いて、最悪の結果を覚悟した。いっそ帰りたかった。結果なんて、目に見えている。そんな表情されるなんて、私は今どんな風に思われているのか……想像もしたくないけれど、やっぱりそんなのわかりきっている。

 
 黒崎君は眉をしかめながら、まじまじと私を見下ろして、未だに顔を歪ませている。


「えっ……、あの……」

 
 ちょっと! 振るんだったら振って!
 
 もう私には希望もなにも残ってなかった。黒崎君の軽蔑に満ちた目をこちらに向けられるのは、いよいよ辛い。


「初対面も同然の人に、いきなり好きです、ってどうなの?」


「え?」


「友達ならまだしも、お互いにさして親しくもないのに、好きですっていうのは礼儀もなってないし、こちらからしても解釈に手間取る」


「あ、なんか、すいません……」