「彩夏!!」

「なにしてるの。」


俺と菜摘は居間に滑り込むように入り、

そう声をあげた。


「あっアイロンしてたら小火がああっ!」


そう言われて彩夏の手元を見ると黒い煙をあげる

俺のTシャツ。


「菜摘!

水持って来いっ」


「分かった」

彩夏と俺は軽くパニックになっていたが、

菜摘はマイペースな性格のお陰で

無表情で落ち着いていた。


***



「ふー…。

やっと火消えたな」


「わああああっ!!」


彩夏は目一杯高い声で叫んだ。


「あな…、でっかい穴あいてる…!!」


そして、

青ざめながら焦げて穴のあいた俺のTシャツを


俺と菜摘の方に広げて見せた。




「仕方ねーな。

新しいの買いに行くか、


菜摘も行くだろ?」


たまには気晴らしに出かけるのも良いかもしれない。


「行くんならついていく…、」




菜摘がそう言っている隣で


「出かける?今から…、皆で…」

彩夏は子供のようにキラキラした目で喜んでいた。