「…………以上、今日の連絡はこれまで。各自授業の用意をするように」
長いようで短い担任の先生のHRが終わり、授業の用意をしようとすると教室のドアが勢いよく開いた。
「ギリギリセーフ!!」
「アウトだ山田。あとお前のクラスは隣だバカ」
「おっ?洸、梓衣ちゃん、心愛おはよー!」
「人の話を聞けぇえええ!!!」
先生が叫んだ瞬間、クラスの中からドッと笑いが起こった。
笑いの中心にいるのは山田聖(やまだ ひじり)くん。聖くんとも中学の時からの友達で、いつもおもしろいことをしてくれる。
……本人は無自覚だけど。
「ちょっと聖、あんたの教室は隣だって」
「え、マジ?」
「さっき先生も言ってたし、あたしたちとクラス違うのに何とも思わないの?」
「ちょ、それ先言ってよ!!」
心愛ちゃんとの会話でさらに笑いが起こる。
この2人、中学の時から夫婦漫才みたいだって評判だったし。
「じゃあな!!」
そう言って聖くんは走って教室を出ていった。
数秒後に隣のクラスからも笑いが聞こえてきた。きっと聖くんが今あったことを話したんだろう。
「全く、あいつは………」
心愛ちゃんはそう言いながらも笑っている。
なんだかんだで良いコンビなんだよね、この2人。
そんな、個性の強い私たちの日常。