Dear.My Heart

「はあ、」




柚菜はため息をつき、人気の少ない場所へと歩いた。





稔のことを探す気にもなれず、ただ独りで彷徨うだけだった。











焚き木はオレンジ色の炎をあげ、激しく燃えている。


その周りでは火の粉が舞い降りていた。
パチパチと音を立てながら、桜の花びらのように散っている。






そんな様子を座りながらボーっと見ていると、1人の男子が近づいてきた。








「よっ!」


浅川慧介だ…。
彼はそっと柚菜の隣に座った。





「浅川くんか…」


稔かもしれない、と期待していた柚菜は素っ気なく言った。