Dear.My Heart

しかし、ポケットの中には飴とヘアゴムしかなかった。

柚菜はその場に座りこんだ。





稔はため息をつくと、再びドアを押し始めた。
同じく部屋に置いてきたのだろう。






「くそっ…開かねぇ」





部屋には内鍵も小窓もなかった。

ドアにある曇りガラスから覗き込む光だけが、部屋を照らしていた。





開かないことを認めると、稔は柚菜の隣に座った。