「いつか、今みたいなごく普通の生活が出来なくなるときがくるかもしれません」
''くるかもしれない''
そう曖昧に言っているお母さん。
でも、本当はわかってるよね?
悪性の腫瘍。
手術をしても全てを取り覗けるとは限らないし、他のところに転移することもある。
お母さんの意地と優しさなんだよね。
「それは、どういう…」
話が分かっていない先生。
「真美は、癌なんです。お医者さんにはっきりとそう言われました。脳に腫瘍が見つかったんです、悪性の」
お母さんの言葉にただ机を見つめる先生。
その目は悲しみに溢れていた。
まだ、出会ったばかりの先生。
それなのに、こんなにも悲しそうな目をする。
そんなことに感動してしまう。
「真美には、普通の生活をしてほしい、他の子と変わらない学校生活を送って欲しいんです。短い間かもしれない、ずっとは無理かもしれません。ですが、出来る限り学校には通わせたいんです。体育だってやらせます。委員も係りも。他の子と同じように接してくれませんか?」
病気だから、他の子とは違う対応をしてほしくない。
それがお母さんの願いであり、私の希望でもあった。
病気だからって特別扱いはされたくない。
私、矛盾してる。
病気だから、部活に入ることを悩んでるのに。
特別扱いはされたくないなんて。
「もちろんです。こちらも出来る限りのサポートはさせていただきます。学校での真美さんのことはお任せください」
先生は私とお母さん、両方を見て言った。

