私は太朗が課題を写すのを黙って見つめる。

一方の太朗は黙々と課題とにらめっこ。

会話はないけど、こんな時間が好きだったりする。

太朗はいつものオレンジジュース。
0.3mmのシャーペンしか使わない。
男のくせして丁寧な字。

集中してる太朗はいつにもましてかっこいい。

「たろー、薫ちょっとかりてくね!」

「ん? あぁ」

「ちょ、なに颯人」

「とりあえず着いてこいって」

おー、こわっ!
ていうか、邪魔しないでよ!

「痛いって、颯人離して」

「ん、あ、ごめん」

「で、なに?」

「薫、ちょっと顔に出すぎだよ。
気を付けなね、夏休み明けで嬉しいのはわかるけど笑」

「うん、ありがと……」

颯人はたまに太朗への私の態度を心配してくれる。

私が……太朗とは友達のままでいたいって言ったから協力してくれている。

本当にありがたい。

「そんな寂しそうな顔すんなっての!」

___ぐにっ

「い、いひゃいっ」

颯人は私のほっぺをつまんでむりやり口角をあげさせた。

「あははっ、ごめんね。
薫は笑ってた方がいいよ!
まぁ、リサには負けるけどっ♪」

「はいはい、わかってますよ笑」

リサってのは私の幼馴染みで、颯人の彼女。

颯人は見た目と中身のギャップが激しい。

あんなちゃらちゃらしてるのに一途だし。←

リサはもう、これでもかってぐらいの美少女。

ほんと羨ましい。

私もリサぐらい可愛かったらなあ……なんてね!