そんなくだらないやりとりをしているうちに学校に着いた。
「9月になったのにまだあっついな。
俺のみもん買ってくる」
「うん、いってらっしゃーい」
課題写すんじゃなかったの?
「おはよー、薫っ!」
「わっ、颯人! おはよ」
「さみしそーな顔してるね笑」
「うっさいよ」
「もー、素直じゃないなぁ」
「わるかったわね」
私が太朗のこと好きなのを唯一知ってるやつ。
颯人に隠し事は絶対にできない。
鋭いんだよね、勘が。
___ピトっ
「ぅひゃあ!」
「ははっ、お前びびりすぎ笑
はい、これやるよ」
「え、ありがとう」
私が驚いた原因は……太朗が持ってた冷たいジュースの缶。
私が好きなブドウジュース。
こうやって、さりげなく私の好みを覚えていてくれるところも好き。
「あぁ、いーよ。
これ薫すきだろ?」
「うん、……あ、ほら!
課題早く写さないと先生くるよ!」
颯人のにやにやとした視線に耐えられなくなって私は慌てて話を反らした。
「あ、そーだった! 忘れてた」
まったく、どっか抜けてるんだから……。
