「おはよ」
パッと声がするほうに顔をあげると葵がいた
「あ、葵。おはよ」
葵とは同じ電車で会うようにしている
私のほうが遠いのでいつも先にいる
「あー、眠い。朝練やだ」
「やだって…しょうがないでしょ」
「うん」
いつも眠そうな葵は可愛いなと思う
何かこう母性本能をくすぐられるような…
それを見てつい顔が綻んでしまう
「ん?何笑ってるの?」
「ん?別に?」
「何それ」
アハハッと、無防備に笑う葵はやっぱりかっこいいなと思う
いや、違うか
夏樹をかっこいいと言うならば、葵は綺麗
そう、男なのに綺麗なのだ
女の人の綺麗とは違う
男の人として綺麗なのだ
男の人の中でも大きい方だと思う
室内競技なので白い肌
痩身な体でも適度に筋肉がついている
何より、顔が整っているのだ
どこかの絵画から抜け出してきたようなそんな感じ
私と一緒にいて確実に釣り合っていない
でも、まあいいか
どうせお遊びだし
