「ねえ」



グイッ



「…っ…な、何」


いきなり距離を詰められて心臓が止まりそうになった
夏樹はよくいきなりグイっと、距離を詰めてくる
その度私は全身が熱くなる


「もうちょっとそばにいてよ」


耳元で囁かれた言葉はあまりに扇情的で、私を乱すのには十分すぎるほどだった


「……」


「ねえ、そばにいて?」



本当にずるい
ずるすぎる


そんな切ない、愛でるような顔で言わないで
ずっとそばにいたくなってしまう



「…うん。あと、少しだけ」



そう返答すると満足そうに微笑んだ



嗚呼、きっと私は病気なんだ
病気だからこんなに夏樹のことしか考えられない


病気のせいにしてしまおう