助手席にハナを乗せ、走り去っていく車は間違いなくユージの車だった…
ボクはまだ全然現状を理解できずに座り込んだままだった。
魂が抜けていくような脱力感‥虚無感‥
どうやって家に帰ったのかわからない…手足がクラゲのようにユラユラと揺れ、真っ黒な世界を歩いた。
ワンワン
華の声が聞こえたけど今は眼中に無い。ボクのアタマには、さっき見た映像がヘビーローテーションしている。
何とも言えない絶望感、怒り、憎しみ…心の中で渦巻く『陰』の感情‥ もう生きていく事さえ面倒くさいと思えた。
その日からボクは食事も睡眠もやめた…というよりできなくなった。大学にもバイトにも行っていない。
華は自分でドッグフードをあさって生き延びていた。