人と人を掻き分け、手当たり次第にハナの姿を探す。もう走れない…寝てないし体の限界を通り越して意識が朦朧としてくる。ボクは道端に座り込んだ。 通り過ぎる人がジロジロと見てるけど、そんな事は関係ない。

「あんま世話やかすなよ!!早く乗れよ!!!」


男の怒声が聞こえてきた。声の方を見た瞬間ボクは凍りついてしまった…


ちょっと待てよ…嘘だろ?何なんだよコレ…
理解するまでボクの中で時間が完全に止まってしまった。世界が全部真っ黒になった。

まさか…まさか…これは現実じゃないだろ…?

まさかハナを苦しめている憎くて抹殺してやりたい男が…その男が… 『ユージ』だなんて… ウソだろ…?