「ただいまぁ~」誰も居ないとわかってて思わず言ってしまう。今日はバイトが早く終わった。いつもボクよりハナの方が帰りは遅い。だからハナは家に居ないはずだった… 薄暗い部屋の中にぼんやりと人影が浮かぶ。 あの日、サクラの木の下に居たハナを思い出してしまう。 「ハナ?今日休みだった?電気付けないで何してんの?」ボクが電気のスイッチを付けた瞬間、変わりはてたハナの姿が目に飛び込んだ。 「どぉしたんだよ!?」 ボクは叫んでハナに駆け寄った。その声で華が目を覚まし ワンワン 吠えている。 ハナの顔は腫れ上がり、口や鼻からは血が流れている。ハナは黙っていた。なんとなく想像はついた。その想像が間違いであって欲しい…そう思いながらボクはタオルを濡らしハナの顔に当てた。