ワンワン ワンワン 耳元で吠える『華』に起こされる。
「わぁったよ!もう起きるよ!」 ボクは華のアタマをワッシワッシと撫でながら体を起こした。 起き上がってもボーっとする頭。 「今日ぐらいはゆっくり寝かせてくれよなぁ?」返事がないのはわかってて華に話しかける。Tシャツを脱いで華にそっと投げる。華はアタマを必死に振ってTシャツを取る。その姿が可愛いくて笑ってしまう。 華は去年の春、さくらの木の下にうずくまっていた。体にはさくらの花びらが積もっていてその姿が綺麗で哀れで華やかで… 迷わず『華』と名付けて飼う事にしたんだ。