「染谷さん」
わたしが声をかけると 彼は少しビクッとしながらこちらをむいた
「はい」
小さな声で返事をすると 首を傾げて私の目を見る
「今月の売り上げ成績、前の店舗からうつってきてないみたいで ご自身で管理されてますか?」
「あ、はい これです」
個人管理のファイルの中から わたしに差し出された1枚の紙
顧客の管理簿だった
細かい情報まで管理されてて 次に同じお客様から問い合わせがあった時も すぐに対応できそうな情報量だった
すごいな このひと
こんな細かいデータまで管理してるんだ
「コピーさせてもらってもいいですか?すぐお返しします」
「大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
にっこり笑う彼につられて わたしも笑顔になったのを覚えてる
