砂漠の夜の幻想奇談



 その宮殿の門はぴったりと閉じられており、門番はいなかった。

男達は戸を叩くこともせず、無遠慮に門を開き中へと足を踏み入れる。

少女もラクダから降ろされ、縛られたまま同行させられた。



「真っ暗じゃねーか」

「亡霊が住んでるんすよ?明かりなんて必要ねーでしょ、きっと」

宮殿の奥へと真っ直ぐ伸びる広い廊下を、月明かりを頼りにゆっくりと進む。


(本当に暗いわ…)


転ばないように注意しながら歩いていた時だった。




――サフィーア…




(えっ!?何!?今の声!)


すると突然、天井から吊下がっているランプが光り輝いた。

「ひぃ!!」

「なんだ!?いきなりランプがつきやがった!」

驚きと恐怖に声を上げる男達。

しかし少女だけは、目の前の美しい青年に目が釘付けになっていた。


「ねえ、俺の妻から離れてよ」


忽然と現れた金髪の青年。

少女を引っ張っていたお頭の首筋に三日月刀が突き付けられる。