真夜中のシリア砂漠を数頭のラクダが駆ける。
「お頭!このままバグダードまで一直線ですかい?」
「おうよ!着いたらこいつを高く売払って、当分遊んで暮らすぜ」
捕まえられた少女は、お頭と呼ばれた男性が駆るラクダの尻に乗せられていた。
(どうしよう!このまま私、売られちゃうの!?)
どうにかして逃げたいが、自由を奪われているため思うように抵抗できない。
少女の額に嫌な汗が流れる。
「お頭、そろそろやばくないっすか?この辺りっすよ。例の亡霊が出るところ」
一番年若い子分の声に、お頭が盛大に笑った。
「カッカッカッ!!バカめが!亡霊なんざいやしねーよ!」
と、その時――。
突如、砂塵が舞った。
砂埃が吹き上がり、視界が悪くなる。
少女は目を閉じ、男達は布や腕で顔を覆った。



