砂漠の夜の幻想奇談


「願いは叶えてやった。では王子よ。我に従ってもらうぞ」

シャールカーンはシャムスを抱きしめたまま鋭い目つきでマイムーナを見つめた。

「何をすればいい?」

「ふふ、簡単なこと。我に飼われよ」

「飼われる?」

「そう。砂漠にて、十二人の王子達同様、我のものとなるのだ。永遠に、な」

マイムーナが舌なめずりをした瞬間、それは起こった。

「ぐあっ!!!!」

マイムーナの手がシャールカーンの胸を貫いた。

否、シャールカーンの心臓を掴んだ。

不思議なことに、血は一滴もこぼれていない。

だが、彼はドクドクと脈打つ己の心臓を魔神に握られたのである。

「ククク…永遠の美を授けようぞ」

「なっ、に…ぐっ……ああ゙あ゙ああああっ!!!!!!!」