砂漠の夜の幻想奇談


「魔神…」

魔神と聞いてダハナシュを思い出した。

そして成る程と理解する。

魔神とは、こういう存在だ。

人間にとって、善にもなれば悪にもなる。

とても厄介で掴めない存在。


「なあ魔神…。俺の太陽…シャムスは、どうなるんだ…?」

「死んだように眠り続け、やがて老いて朽ちるだろうな」

愛しい我が子の行く末を聞き、シャールカーンはギュッと拳を握り締めた。

そして…。


「魔神……俺と契約をしてくれ」

「ほう、なんだ?何を望む」

「俺とサフィーアの娘、大切なシャムスエンナハールを元に戻してくれ。目覚めさせてくれ…!」

切なる願いを口にすればマイムーナは考えるように腕を組んだ。

シャールカーンのことを舐めるように見つめ、口角を上げる。

「ふむ……できなくはない。叶えてやろうではないか。だがな、対価が必要ぞ。お前は我に何をくれる?」