砂漠の夜の幻想奇談



信じられなかった。

今、目の前で起こった出来事が。

サフィーアが、消えたことが。


「何、が……?いったい……何が起きたんだ…?」


高笑いが聞こえる。

あの女の、満足したような笑い声。

「貴様ぁあ!!!!サフィーアをどうしたんだ!!サフィーアを返せ!!」

元凶を見上げ、刃を構える。

とその時、シャムスの身体がシャールカーンに寄り掛かってきた。

「シャムス…?」

支えてやれば、全体重を預けてくる。

「シャムスどうしたんだ?シャムスエンナハール!?」

おかしい。

つい先程まで意識があったのに、今のシャムスは目を閉じてグッタリとしている。

「どうしたシャムス!?目を開けてくれ!シャムス!!」

必死に呼び掛けていると、笑いを納めた女がスーッと近寄ってきた。

「その娘は半分の存在。もう目覚めぬわ」