砂漠の夜の幻想奇談


「あの~、お熱いところよろしいですか?」

年若い弟達がヒューヒューと口笛を吹いているのを横目に、エリアスが近寄ってきた。

年長組は気恥ずかしそうに咳ばらいをしている。

「あっ!ごめんなさい兄上!」

シャールカーンの胸を押して離れようとするが、無駄だった。

サフィーアは抱きしめられたまま兄達にこれからのことを告げる。

「コンスタンチノープルへ戻られる前にダマスへ寄って行って下さいね。帰る船はシャールが手配してくれるから…。そうよね?シャール」

「ああ。是非、今宵はダマスの我が屋敷にお泊り下さい。歓迎致します」

思わぬ申し出に、兄弟を代表して長男ニコラオスが礼を述べた。

「ご親切にありがとう。感謝します」


こうして彼らを太守の屋敷に迎えたシャールカーンとサフィーア。


「これさ、脱いだ途端またガチョウになったりしないかな?」

ふと疑問に思ったコスティがサフィーアの編んだ服を脱いでみた。

けれど彼の身体はちゃんと人間のままだったそうだ。