砂漠の夜の幻想奇談


「サフィーア!!」

久しぶりのサフィーアの声に真っ先に反応したのはもちろんシャールカーンだ。

彼は喜びに任せてサフィーアを強く抱きしめた。

「嗚呼、サフィーア!!」

「シャール…苦しいわ!」

「何でもいい!もっと喋ってくれないか?今はお前の声だけを耳にしていたいっ」

やっと声が出せる。

もう何でも自由に言える。

それなのに何を言えば良いのか迷って言葉がなかなか出て来ない。

サフィーアはとりあえず彼の名前を呼んでみた。

「シャール」

「サフィーア…もっと」

「シャール…シャールカーン…!」

呼ぶうちに、一番声に出したかったのはこれだったのではと、ふと気づく。

ずっと呼びたかったのだ。

大好きな彼の名前を…。