砂漠の夜の幻想奇談


一陣の風。

大量の砂が舞い上がり、視界が悪くなる。

唐突なそれに皆驚き、顔を手やターバン、ベールで覆った。


(この風、もしかして!)


サフィーアの胸に期待が膨らむ。

覚えがあるのだ。

風が止めばきっと、背の高い塔が目の前に現れるはず。

と思っていたら…。


「ガー!ガー!」


風が止み、最初に視界に映ったものは十二羽のガチョウだった。


(兄上…!!)


砂漠の真ん中に現れたガチョウ達。

テクテク歩きながら彼らはサフィーア達に近寄ってきた。

「兄上方!!」

慌ててシャールカーンが愛馬から飛び降りる。

サフィーアも従者に手伝ってもらい輿から降りた。

腕には自分一人の力で編み上げた服を抱えている。


(お待たせ、兄上)


それを早速ガチョウ姿の兄達に着せてやった。

すると――。