砂漠の夜の幻想奇談


可愛いシャムスエンナハールはドニヤと一緒にお留守番。

自分達が出掛ける時「ははうえ~、しゃーる~」とぐずっていた姿を思い出し、シャールカーンは馬上で額を押さえた。

「戻りたい…。嗚呼、シャムス…。けどダメだ!サフィーアの声がやっと聞けるんだから。くそっ、まだ塔は見えないのか!?」

トルカシュも含め同行させた従者達に大声で尋ねるも、彼らは首を横に振るばかり。

もうシリア砂漠には到着しているが高い塔も十二羽のガチョウも見つけられずにいた。


(どうしよう…。会えるかしら?)


ラクダの輿にて横に揺られながら、サフィーアは不安を募らせる。

こちらから会いに行っても、塔の出現は気まぐれだ。

確実に見つけられる保証がない。

運任せな状態に気持ちが落ち着かず、辺りを遠くまで見渡していた時だった。