「サフィーア、愛してる」
誰にも見せたことがない、愛に満ちた眼差し。
その微笑みは儚くも、やっと伝えられた思いに嬉しさを溢れさせていた。
(カシェルダ…!)
予想外の告白を受け、サフィーアの熱が上がる。
驚きや嬉しさや罪悪感。
ないまぜになった感情から、無意識にぽろぽろと涙がこぼれた。
「泣かないで下さい…。泣かせたかったわけじゃない」
口元を覆っていたサフィーアのベールに手を掛け、カシェルダがそれをそっと取り去る。
サフィーアの顔全体が露わになると、カシェルダは愛しい姫の腰を抱き、最初で最後の口づけを交わした。
キスの最中、涙を流しながらもサフィーアは一切抵抗しなかった。
これがカシェルダにとって、どれだけ大切な――神聖な行為なのか、心で理解してしまったから。
(今だけは……今だけは、カシェルダを受け入れたい…)
唇を通して伝わってくる切ない感情に、サフィーアの胸は打ち震えた。



