それから夜になり、就寝前の時刻となった。
「サフィーア姫、少しよろしいですか?」
(カシェルダ?)
シャールカーンの待つ寝室に行こうとしたサフィーアを、カシェルダが呼び止める。
侍女のドニヤを下がらせ、薄暗い居間に彼らは二人きりとなった。
「その……私が王になったら、もう姫の護衛官ではいられなくなりますので、ちゃんとお伝えしておこうと…」
(あっ、そうよね…。そういうことに、なるのよね…)
寂しさを感じる。
胸がキュッと締め付けられるようだ。
「できることなら、私はずっと……姫の護衛役でありたかった」
ぽつり、ぽつりと語り出す。
「ですが…護衛官である自分を歯痒く思ったこともあります」
心の奥底に閉じ込めていた、本当の気持ち。
「一国の姫ではなく、貴女を妻として愛したかった。夫として、愛されたかった…」
刹那、カシェルダの瞳が揺らめく。
そして――。



