砂漠の夜の幻想奇談


それから横目で最大の難関を見遣る。

「よろしいですか?王太后」

同意を求めれば、彼女は妥協したように目を閉じた。

「………良いでしょう。王位継承権の約束が守られるならば、私に不満はありません」

この答えを耳にして、シャールカーンとカシェルダの緊張が和らいだ。

残るは…。


「ノーズハトゥ…」

言葉選びに迷うシャールカーン。

すると、彼女は恭しく頭を下げた。

「王様の、御心のままに…」

自分の全てをシャールカーンの意志に委ねる。

彼が決めたことならば、どんな未来が待っていようとも従うだけ。

それがノーズハトゥの出した結論だった。


「………すまない」


王の謝罪すらノーズハトゥには心地好く聞こえた。

愛しい人の役に立てるなら、これ以上の至福はない。

たとえそれが、犠牲(イケニエ)のような役割だったとしても。